平安末期から、茎に銘を刻することは一般化したと言われています。太刀銘は佩表(はきおもて)に刻まれて、刀銘は差表に刻まれることが基本と言われています。ただし、肥前の刀や江戸後期にある刀には、太刀銘を刻むということもあったそうです。作者によって銘の形、太さなどは異なっているため、この銘を子細に見ることで正真性を確かめることもできると言われています。銘にはさまざまな種類があり、大きく分けて10種類あると言われています。1つは作者銘で、刀工の名前を刻したものです。次に紀年銘で、製作をした年記を記したものです。一般的には作者銘の裏側に入れるために、裏銘と言われることもあるそうです。年号に加えて、正確な月日を刻する場合もあるそうですが、多くの場合には焼入れに適した旧暦の二月日、もしくは八月日とされているそうです。所持名はそのまま所持者の名前を表したもので、注文銘は制作依頼者の情報になります。受領名(ずりょうめい)は、江戸時代に刀工が国司に任官されたときに、例えば越前守などと入れたものを指します。名目上では官位になりますが、手続きにおいては正式なものとされていたそうです。折返し銘は、大磨上げを行ったときに、銘を残そうと工夫をして裏面に折り返して嵌入したものを言います。額銘は、大磨上げを行ったとき、銘の部分を短冊形に切り取って、磨上げた茎にはめ込んだものを言います。その形から短冊銘と呼ぶこともあるそうです。朱銘(しゅめい)は、朱漆で書かれた銘を言います。刀の由来や伝承にちなんだものや、はじめから無銘のものに鑑定銘を記したものもあるそうです。他にも金象嵌銘という金象嵌したものや、試しに切ったもの結果を印試し銘などがあります。